02 03, 2023クリエイター向け:NFTアート販売における税金の仕組みを解説

お役立ち情報 連載
・「NFTを販売して利益が出た場合の税金について知りたい!」
・「NFT販売で利益が出たときの確定申告はどうやってやればいいの?」
・「NFTクリエイターとして最低限の税務関連の知識は知っておきたい……」


いざ作品が売れた後の確定申告などの対応に不安を覚えるNFTクリエイターは少なくありません。

正しい知識が無いまま放置してしまうと、場合によっては脱税に繋がる恐れもあります。

そこで本記事では、NFTアートを販売する際に知っておくべき税金の知識から確定申告の方法までまとめて解説します。

この記事を読めば、NFTクリエイターとして必要最低限の税務知識が身に付きます。

注意点: NFTに係る税務上の判断については、専門的な知識や判断が必要になります。
このため、確定申告時には税理士や税務署の職員などに相談されることを強く推奨します。
また、本記事で紹介しているサービス等はご自身の責任においてご利用ください。

■監修者情報:
税理士登録番号:143123
税理士:菅原裕和

■執筆者情報
ライター:ゆうま
プロフィール:https://nft-fun.site/profile/

目次

NFTアートをクリエイターが販売したときの税金

まずは、NFTアートを販売した際に出た利益がどの所得区分に当てはまるのかを理解することが必要です。

NFTアートの所得区分

現状、NFTアートの所得区分は以下に分類されます。
1. 雑所得
2. 事業所得
3. 譲渡所得

このうちクリエイターがNFTを販売したときの利益とそのNFTが転売されたときに発生する手数料収入(ロイヤリティ)に係る所得区分は「雑所得」、あるいは「事業所得」になります。

雑所得とみなされる場合:
クリエイターとしての活動が「事業」と称するに至る程度ではなかったり、帳簿を付けていない場合は「雑所得」とみなされる可能性が高いです。

一方、副業でNFTクリエイターとして活動していたとしても、下記の条件を満たせば「事業所得」とみなされるケースもあります。

● 社会通念上「事業」と称するに至る程度で活動を行っている
● 帳簿書類を作成・保存している(保存期間は原則7年)

その他の細かい条件もありますが、基本的に帳簿を作成していれば副業だとしても事業所得として認められます。

NFTにおける納税額の計算方法

納税額の計算方法を解説します。

まずは、所得金額を求めます。
雑所得、事業所得どちらの場合でも所得金額を求める計算式は以下の通り。
所得金額=総収入-必要経費

例えば、NFTクリエイターとして得た年間の売上が400万円、クリエイター活動をするための各種諸経費が100万円だった場合は、その差の300万円が「所得金額」になります。

「所得金額」に対して所得控除を適用した後の金額を「課税所得」と言います。
例えばですが、所得控除には以下のようなものがあります。

● 基礎控除
● 社会保険料控除
● 扶養控除

この「課税所得」が所得税の計算の元となる金額です。

所得税の目安は、国税庁のサイトにある「所得税の速算表」でわかります。
税率は最大45%。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

引用:「所得税の速算表」

例えば、所得控除を適用した後の課税所得が300万円だった場合は以下のように計算します。
300万円×10%-9万7500円=20万2500円

この例の場合は、おおよそ20万円を納税する必要があるということです。

厳密には、所得税に加えて住民税も発生します。
住民税についての説明は割愛しますが、気になる方は調べてみてください。

NFTを販売するクリエイターが行うべき確定申告の方法

このように1年間のNFT販売に係る所得に対する納税額を計算し、納税するための手続きを「確定申告」と言います。

確定申告の期間は、原則翌年の2月中旬〜3月中旬。

翌年が申告期間となっている理由は、その年の12月末までに発生した所得金額に対して課税されるため、翌年にならないと計算ができないからです。

確定申告が必要になる場合

では、NFTクリエイターとして活動していたら例外なく確定申告が必要になるかというとそうではありません。

確定申告が必要になるのは、主に以下の場合です。

会社員(副業NFTクリエイター) NFT販売で20万円以上の所得が発生した場合
被扶養者(専業主婦や学生) NFT販売で48万円以上の所得が発生した場合
個人事業主 所得金額に関係なく確定申告は必須

「20万円未満は確定申告が不要」という認識を持たれている方も多いですが、住民税はいかなる場合でも申告が必要です。
この点は、十分に気を付ける必要があります。

また、上記に当てはまらない場合でも確定申告が必要となるケースもあります。

確定申告の方法

確定申告をスムーズに進めるためには、日頃から下記のデータを記録しておくとよいでしょう。

1. 取引日時
2. 販売価格
3. 取引時通貨(例:ETH)
4. 取引時の通貨数量
5. 販売時に発生した手数料

後から見てもわかりやすいようにエクセル等でまとめておくと、直前になって焦らずに済みます。

確定申告をする場合、自分で行うか外注するかのいずれかを選択することになります。

自分で確定申告する場合:
ご自身で確定申告を行う場合は、国税庁が提供している「確定申告書等作成コーナー」を利用するのが便利です。

「確定申告書等作成コーナー」は、オンライン上で確定申告のための書類を作成できる仕組みです。
利用はもちろん無料。

日頃から記録しておいたデータを参考に、指定の数値を入力すれば自動的に必要な計算をしてくれます。
初心者向けのガイドもあるため、初めての方でも正確に申告することができます。

また、国税庁は暗号資産の取引をスムーズに計算できる「暗号資産の計算書」も用意してくれています。

このようなツールを利用することで、ご自身でも抜け漏れのない申請を行うことができるでしょう。

外注する場合:
自分で確定申告を行うことに不安に感じる方もいると思います。
そのような場合は、専門家に外注することもできます。

最寄りの税理士事務所への問い合わせはもちろん、最近ではクラウドソーシングなどで簡単に税理士へ確定申告の代行を依頼できます。

外注する場合も、前述のNFTの販売(取引)履歴をまとめておくと、円滑に手続きを進めてもらえます。

NFTアート販売以外で税金が発生するケース

NFTアートの販売時だけでなく、購入時にも税金が発生する場合があります。

NFTを購入する際、多くはETHという暗号資産で取引が行われますが、このETHの取得価額とNFTの購入時のレートに差額が発生するためです。

例えば、以下の条件で1ETH分のNFTアート購入取引を行ったとします。

・1ETH=3千円のレートで取得
・1ETH=1万円の時にNFTを購入

NFTの購入のために3千円で取得した1ETHを1万円で売ることと同義のため、
差額の7千円分が所得としてみなされる可能性があるのです。


それ以外にも、例えば以下の場合に確定申告の対象となるケースがあります。

● 二次流通でのNFTの転売
● 財産的価値を持つ資産と交換できるNFTの偶発的な取得
● 仕事の対価としてのNFTの受領

NFTクリエイターの場合、NFTアートの販売で得た利益が納税対象のメインになると思います。

しかし、「それ以外の取引でも確定申告の対象になる可能性がある」ということを念頭に置いておきましょう。

注意点:確定申告をしなかった場合のペナルティ

ここまで読んで、NFTアート販売に係る確定申告に若干のハードルを感じたかもしれません。

しかし、だからといって、この手続きを疎かにしてはいけません。

納税の必要性があるにもかかわらず、無申告の場合、以下のようにより多くの税金を支払う羽目になる可能性があるからです。

無申告加算税:

申告期限までに確定申告をしなかった場合、各年度分の税額に対して以下の金額が課税されます。

50万円まで:15%
50万円超過:20%

加えて、申告について不正を働いたことが発覚した場合、さらに40%相当の重加算税が課せられます。

参考:「加算税」

その他、期限までに税金が納付されない場合の「延滞税」、実際の所得よりも小額で申告した場合に課される「過少申告加算税」などが挙げられます。

こうした事態に陥らないためにも、日頃から取引データの記録や早めの申告準備をしておくべきです。

もし、誤って申告してしまった場合は、放置せずに必ず税務署に問い合わせるようにしましょう。

まとめ:NFTクリエイターだからこそ税金の理解は必須

NFTクリエイターとして活動するために、必要となる税金まわりの知識について解説してきました。

「日々創作活動をしていると、なかなか税務面の勉強まで手が回らない」というのが本音ではないでしょうか。

しかし、納税は国民の義務。

税金未納などで思わぬトラブルに巻き込まれないためにも、必要最低限の知識は身に付けておくべきです。

まずは、クリエイターとして販売したNFTアートの収益が事業所得になるのか、それとも雑所得なのかを把握し、所得税における確定申告の要不要を確認しましょう。

不安な方は、国税庁の窓口に問い合わせたり、税理士など専門家に相談することをおすすめします。

本記事は2023年1月時点の情報です。
今後税制が変更になる可能性もあります。

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